オーロラを撮影したいけど、どのカメラを買って良いのか分からない。このような人は多いのではないでしょうか。一眼レフ、ミラーレス、コンパクトタイプなど、デジタルカメラ全盛期と言える最近のカメラ市場では、実に様々な種類の機種が販売されています。ここではオーロラ撮影に適したカメラの選び方とポイントを考えてみましょう。
カメラの選び方
オーロラ撮影に適したカメラとは?
一昔前はカメラと言えばフィルムが一般的でしたが、今はデジタルカメラ(通称:デジカメ)全盛期。撮影に失敗しても手軽に消せるため、何かと失敗しやすいオーロラ撮影には理想的なカメラと言えます。デジカメのタイプは多種多様なものがありますが、一般的に普及している物を分類すると、レンズ交換可能で高性能な「一眼レフ / ミラーレス一眼」、持ち運びが便利で操作が簡単な「コンパクト・デジタルカメラ(通称:コンデジ)」、そして、今や非常に普及した「スマートフォン(通称:スマホ)」の3種類に別れます。では、オーロラ撮影にはどのようなカメラが適しているのでしょうか。まずは、どのカメラでも前提となる『オーロラ撮影に必要なカメラの機能』で解説した3つの機能を備えていることが大切です。しかし、3つの機能にも性能の違いがあるため、当然、高性能なものほど高価になってくることを考えなくてはなりません。
下の表では、オーロラ撮影のカメラに最低限欲しい性能をまとめました。これらを満たしているカメラであれば、カメラのセンサーサイズや使いやすさやで選ぶのが良いでしょう。夜間、寒冷地での撮影がメインとなるオーロラ撮影では、カメラの操作性はとても大切なポイントとなります。高性能な一眼レフは素晴らしいオーロラを撮影することができますが、操作はやや複雑になります。一方、コンデジは使いやすく操作が簡単なものが多いため、手軽に撮影を楽しむことができます。カメラタイプによるメリット、デメリットを考えて、自分に合ったカメラを選びましょう。
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オーロラ撮影のカメラ選びでは、夜間、寒冷地での操作性を考慮することも大切。
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カメラに最低限欲しい機能
シャッタースピード 10秒から15秒以上 設定可能 レンズの明るさ F3.5(理想はF2.8以下) レンズの画角 35mm換算で24mm以上ワイド ISO感度※ 変更可能なもの ※ISO感度は高感度でもなるべくノイズが少ないものが理想的であり、ISO1600で実用レベルに達している物がオススメです。
ヤムナスカ・マウンテン・ツアーズ 堀口慎太郎 |
オーロラ撮影ではなるべくセンサーサイズの大きなカメラを選ぶ
画質を決めるセンサーサイズ
画質はカメラ選びの大切なポイントですが、実は画質の良し悪しは、一眼レフやコンデジなどのカメラタイプとは直接関係がありません。高感度への強さ、ボケ具合、画像解像度は、あくまでもカメラが備えている「センサー」の大きさで決まり、センサーサイズが大きいほど撮影できるエリアが広く、くっきりとした写真に仕上げることができます。そのため、オーロラ撮影においてもセンサーサイズがより大きいカメラを使う方が、より迫力のある作品として仕上げることができるのです。
基本的な傾向として、センサーサイズが大きくなるほどボディーも大きく、重くなり、値段も高価になっていきます。予算や使い安さを考えながら、なるべくセンサーサイズの大きなカメラを選びましょう。高感度ノイズを考慮するならば、フォーサーズ以上のセンサーサイズが欲しいところです。
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一眼レフ・ミラーレス一眼
レンズ交換可能なことが最大の強み
プロからハイアマチュアまで幅広く使用されている一眼レフカメラは、カメラタイプの中でも最高クラスであり、オーロラ撮影においても最強のカメラであることは間違いありません。画質が良いことはもちろんですが、撮りたい絵の構図に合わせてレンズを換えられるのが一番の魅力と言えるでしょう。夜空に現れるオーロラは、時として空を埋め尽くすほどの広い範囲までその筋を伸ばします。視界いっぱいに広がるオーロラを写真に収めるためには、やはり広角(ワイド)レンズがオススメです。一眼レフはレンズのバリエーションがとても豊富であり、非常に広角な魚眼レンズを使えば、信じられないほどの大迫力で迫るオーロラ写真を撮ることができるでしょう。もともと一眼と言えば「一眼レフ」の意味でしたが、最近はレンズ交換可能な「ミラーレス一眼」も普及してきました。
被写体に合わせてレンズ交換が出来ることが最大の魅力。
超広角の魚眼レンズなら大迫力のオーロラ撮影が可能。
- 良いところ
画質が良い(高感度ISOが利用可能)
レンズ交換可能
バッテリーの持ちが良い / ボディーの耐性が強い
- 問題点
価格が高価
機材が重い / 重量感のある三脚が必要
操作が複雑
一眼レフ
光学ファインダーが最大の武器
一眼レフはファインダーからミラーを経由して撮影対象を捉えることができるのため、視覚的に構図を捉えやすいのが魅力です。また、光学ファインダーが使えるのは一眼レフだけのメリットと言えます。機能性や操作性の面で、カメラ初心者には敷居が高く思われがちですが、ちょっとしたした撮影のコツを掴めば、すぐにプロ顔負けの写真を取ることも可能です。
センサーサイズは、フルサイズ、APS-Cのタイプが主流であるため、ボディーの大きさ、重さはある程度覚悟しなくてはなりません。しかし、センサーサイズが大きいので高感度に強く、広角が望ましいオーロラ撮影では、絵作りの幅が他のカメラタイプに比べて格段に違います。フルサイズの上位機種モデルであれば、ISO3200以上の高感度ISOでもノイズが乗りにくくなるため、画質のレベルが劇的に違ってきます。オーロラ爆発などの動きの速いオーロラ撮影では、非常に力を発揮することでしょう。
一眼レフは防塵防滴のボディーを採用している機種も多くあり、バッテリーサイズも大きく持ちが良いので、寒冷地での撮影に安心感があります。良いことづくしの一眼レフですが、良いものは高いということを忘れてはなりません。手頃な価格のものでもレンズと合わせて10万円ほど、フルサイズの機種であれば数十万円は覚悟しなくてはなりません。電子ファインダーとしても使える「ライブビュー」機能を搭載しているタイプであれば、星空のピント合わせでとても有利になります。本格的なオーロラ撮影を望む場合は、一眼レフが最もオススメです。
ミラーレス一眼
なるべくセンサーサイズの大きい機種を選ぶ
レフ構造の鏡がなく、電子ファインダーを使うため、高性能ながらボディが小さく軽量であることがメリットです。また、一眼レフのようにレンズ交換が可能なため、絵作りの幅も広くなります。センサーサイズは中型のものからAPS-Cサイズまで幅広くあり、画質、価格帯ともにバリエーションも多くあります。オーロラ撮影を考えると、なるべく大きなセンサーサイズの物を選びたいところです。
ミラーレス一眼は手軽な一眼レフといった位置づけに思われがちですが、ソニーなど一部のメーカーからフルサイズのミラーレス一眼も登場しており、上位機種は一眼レフと同等の性能と画質を備えています。しかし、電子ファインダーの使用がメインとなるため、一眼レフと比べるとバッテリーの持ちが弱いのが弱点と言えます。一方、電子ファインダー自体の性能が高い機種も多くあり、夜間での使用が中心となるオーロラ、星空撮影を考えると、この点では非常に有利となります。ミラーレス一眼を選ぶ際は、センサーサイズ、操作性だけでなく、星空のピント合わせで非常に役に立つ「ライブビュー」機能を含めた、電子ファインダーの性能を重視すると良いでしょう。
コンデジ・スマホ
コンデジ
手軽で多機能な機種を選ぶのがポイント
カメラタイプの中では最も普及しているのがコンデジです。そのため、機種の種類、機能性、価格帯などで、とにかく選択肢が多いため、購入の際はオーロラ撮影におけるポイントをしっかりと考慮する必要があります。機種を選ぶ際は『オーロラ撮影に必要なカメラの機能』で解説した「シャッタースピード」や「ISO感度」などの設定に自由度が高く、「マニュアルモード」を備えた機種を選ぶのも一つの方法です。しかし、コンデジを選ぶ最大のメリットは、手軽で簡単に良い写真が撮れることに尽きるため、あまり複雑な機能を求めていくのはオススメしません。
コンデジのメリットを活かすならば、撮影モードのバリエーションが豊富で、花火や夜景だけでなく星空の撮影に特化した撮影モードを備えた機種を選ぶと良いでしょう。特に一部のメーカーが採用している「星空モード」のように、撮影された画像を複数のエリアに分割して、星空と夜空の領域でそれぞれの明るさに適した現像処理を行う機能は、誰でもボタン一つで素晴らしいオーロラ写真が撮れるため非常にオススメです。星空モードで撮影された画像のクオリティーは驚くほど高く、まさに天体写真の革命と言える機能と言えるでしょう。
高価なものになればなるほどセンサーサイズも大きく、高性能になるため、上位機種であれば一眼レフにも負けないほどの、クオリティーの高い画質で仕上げることができます。しかし、コンデジはレンズ交換ができないため、構図の幅が限られてしまうことを覚悟しなくてはなりません。なるべく広角レンズを搭載した機種を選ぶのがポイントです。
コンデジはシャッタースピードが変更できるタイプであれば、撮影の幅が広がる。
星空モードは非常にお手軽な撮影モード。誰でもボタン一つで見事なオーロラが撮れることでしょう。
- 良いところ
コンパクトに持ち運べる
手頃な価格のものが多い
多彩な撮影モードで手軽に撮影可能
- 問題点
値段相応の画質である
レンズ交換が不可能で、画角に制限がある
バッテリーの持ちが悪い
スマホ
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最も普及してお手軽だが...
スマートフォン(通称:スマホ)に搭載されているカメラは年々進化しており、最新のiphone7のカメラなどは、その辺の安価なデジカメよりも遥かに綺麗な写真が撮れます。最近はコンデジの登場機会がすっかり減り、スマホのみで旅行をする人も多いのではないでしょうか。しかし、スマホのカメラはセンサーサイズが小さいために高感度の撮影に弱く、オーロラや夜景撮影においては、まだまだ実用的ではありません。私たちも実際に検証してみましたので、以下のブログをご覧ください。
大検証!スマホでオーロラ撮影
オーロラ完全ガイド制作スタッフ 小泉優 |
機材をレンタルをして旅行に挑もう!
せっかくのオーロラ旅行であれば、初心者の方でもオーロラの撮影に挑戦したくなるものですね。しかし、初挑戦で高額な一眼レフカメラを購入するのは、とても勇気がいることでしょう。そんな時にオススメの方法が「レンタルカメラ」です。 最近は取扱店も非常に増えてきており、一眼レフの下位機種であれば、レンズセットが5日間で1万円ぐらいから借りることができます。経験者の方でも、星空の長時間露光やインターバル撮影用の2台目の機種としてレンタルするのもアイデアの一つですね。
次は、どんなカメラにも必須のアイテム、三脚について解説します。
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