オーロラの名前の由来

• 古代ローマにおける暁の女神

  オーロラとは、ローマ神話にでてくる暁の女神アウロラ（Aurora）から名付けられました。名付け親は諸説がありますが、かの有名なガリレオ・ガリレイとも言われています。

  アウロラは知性の光、創造性の光が到来する時のシンボルです。オーロラの女神は地上の生き物たちに生きる光を与え、暗黒の世界を取り去ってくれる力を持っています。希望の光といったところでしょうか。

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オーロラの歴史

• 紀元前からの観測の記録が残っている

  紀元前4世紀、ギリシアの哲学者アリストテレスは、オーロラを「天の裂け目から吹き出す炎である。」と説明しています。日本でも遥か昔から観測記録はあり、日本書紀にも「赤気」として記録が残っているほどです。詳しくは関連リンク『低緯度オーロラ』を参照してください。

  関連リンク低緯度オーロラ

   

  古代中国

  中国のある研究者が紀元前700年から1600年までの長期間にわたる古文書を調べた結果、オーロラの記録らしいものを約600例ほど発見しました。”オーロラらしい”と書いたのは、当時はこの不思議な光を自然現象とみる概念がなく、古文書を読んでも、オーロラと解釈するか彗星ととるかなど、研究者によって解釈が分れるからです。中国では赤いオーロラは不吉の前兆と言われ、政治の大変革の前ぶれと考えられていました。また、天空に棲む龍と考えられていたという説もあります。

   

  中世ヨーロッパ

  北欧や中世ヨーロッパでは、珍しい赤いオーロラは神の怒りであると恐れられ、災害や戦争、政治の大変革などの不吉な出来事の前兆であると考えられていました。ドイツではヒトラーがポーランドを侵攻する前夜に大磁気嵐が発生し、真っ赤なオーロラが空を覆い尽くしたと言われています。その結果、ヒトラーの作戦は失敗に終わったという逸話も残っています。

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オーロラの呼び名あれこれ

• オーロラ、それともノーザンライツ？

  オーロラは一般的には英語で「The Northern Lights = ノーザンライツ」と言います。「Northern = 北部の～」という意味です。北半球の主なオーロラ鑑賞地であるカナダ、アラスカ、北欧などでは北側の空に見られることが多いため、このように呼ばれています。では、南半球では何と呼ぶのでしょうか？ 南極やニュージーランドで見られるオーロラは、「The Southern Lights = サザンライツ」と呼ぶのです。

  また、「Northern Lights」を「Aurora Brealis」、「Southern Lights」を「Auroa Austalis」と呼んだりもします。日本語では「オーロラ」以外にも正式な呼び名があり、「極光（きょっこう）」と言います。北半球のものを「北極光」、南半球のものを「南極光」と呼ぶのです。

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  2011年9月27日。ニュージーランド、クイーンズタウン近郊で撮影されたサザンライツ。(C) Minoru Yoneto

日本の本州以南でのオーロラ観測

• 富士山にかかるオーロラは可能？

  日本での観測記録は多くあり、最近では2015年3月に北海道で観測されています。日本では北海道などの高緯度地帯で稀に見られる程度であり、近年では本州以南での観測記録はありません。しかし、本当に本州以南では見れないのでしょうか。

  現在は地球の磁力の強さが年々減少していると言われています。最近の研究では、過去100年の間に5%から6％も減少を続けており、このまま減少を続けると1000年ほどで地球の磁場は無くなってしまうのではという報告も出ています。この減少により、オーロラベルトの位置も徐々に南へ下がってきているのです。現在はカナダやアラスカ、北欧で見られているオーロラも、1000年後には富士山の上で揺らめく可能性もゼロではありません。

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オーロラのエネルギー

• オーロラで発電は可能か？

  雷で発電するというアイデアもあるようですが、オーロラで発電は出来るのでしょうか。宇宙からのエネルギーを有効活用できたら素晴らしいことですが、オーロラのエネルギーは膨大で、我々が扱えるほど小さくはありません。オーロラ爆発という最高レベルのオーロラ発生時は、数千万アンペア、百億キロワットという、発電所さえ破壊するほどの非常に大きな電力が流れています。

   

  オーロラの強さを表す単位

  オーロラの強さを表す単位は「レイリー（R）」です。単位面積、単位時間あたりに入射する光子の数を表す単位であり、イギリスの物理学者であるレイリー卿にちなんで名付けられました。目でやっと見える程度のオーロラは約1700レイリー。オーロラ爆発時は100キロレイリー以上になります。

  関連リンクオーロラ爆発と磁気嵐
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オーロラが生物に与える影響

• 地磁気の乱れが原因となる

  太陽風が地球に向ってくると、地球環境にも様々な影響が出ることは分かっています。時には人間の生活にも影響を及ぼすオーロラですが、他の生き物はどうなのでしょうか。実は地球上には地球の磁場に頼って生活している動物たちがたくさん生息しています。例えば海に住む哺乳動物「クジラ」や「イルカ」などです。彼らは大脳に持つ磁気センサーを使い、周囲の地形や方角を把握している言われています。そのため、磁気嵐などによって地球の磁場が強く乱れると、彼らの行動にも影響を及ぼすことがあるのです。たまにニュースになるクジラの集団座礁などは、この磁場の乱れに原因があると言われています。また、渡り鳥は向かうべき方向を決める際、地磁気に頼っているとも言われています。太陽風による地磁気の乱れは、我々人間の生活だけではなく、動物たちにも色々と影響を与えているのです。

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地球外のオーロラ現象

• オーロラは地球だけのものではない。

  オーロラは地球だけで発生する現象ではなく、他の惑星でも見ることができます。「大気」と「磁場」がある惑星であれば、そこにプラズマ（太陽風）が届くとで、オーロラは発生することができるのです。1970年代後半には探査機ボイジャー１号がによって、木星のオーロラが初めて撮影されました。地球のオーロラは長くても数時間で消えてしまいますが、土星のオーロラは数日間も続くことがあります。また、それ以外の惑星ですと、ハッブル望遠鏡がよって観測された土星南極付近のオーロラも有名であり、天王星でもオーロラは観測されています。
  

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オーロラにまつわる先住民族の伝説

• 神秘のオーロラ。人間の想像を越える事象を「神秘」と呼びますが、最近は科学の力によりその仕組みの謎がだいぶ紐解かれてきました。しかし、昔の人々はどのようにオーロラを捉えていたのでしょうか。カナダやアメリカに住む北米の先住民にとって、オーロラの考え方も様々でした。

   

  邪悪な光

  アラスカに住むイヌイット族の人々は、オーロラを邪悪なものと捉え、彼らはナイフでそれを消し去ろうとしていました。

   

  疫病の前兆

  ウィスコンシンのフォックス族は、オーロラを戦いで帰らぬ人となった”敵の部族”の眠れぬ魂が復活したものだと考え、疫病の前兆だと考えていました。

   

  魂の舞

  カナダのソート―族は、オーロラを死者の魂の舞と捉え、ユーコン川流域のイヌイット族は、シカ、アザラシ、サケ、ベルーガの精霊の踊りであると信じていました。

   

  遥か北の炎

  ワシントンのマカ族は、北方に住むドワーフ族がクジラの油を燃やし、火事を起こしたものと考えていました。

   

  巨大な窯

  ノースダコタのマンダン族は、オーロラは偉大なシャーマン（呪術師）が、敵の戦士達を巨大な窯で煮込んで立ち上がった湯気であると考えていました。

   

  巨人のたいまつ

  ウィスコンシンのメノミー族は、巨人が夜の魚捕りに出かける際に使う「たいまつ」だと考えました。

   

  極北の創造主

  カナダのアルゴンキン地方の神話では、全ての役割を全うし、遠い北へ旅をした創造主を映し出したものがオーロラであると考えられていました。

   

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