天空の神秘オーロラ
オーロラ完全ガイド
オーロラ鑑賞の秘訣
オーロラ鑑賞に適した時期と時間帯
THE BEST SEASON & TIME

地球上で良くオーロラが見られる場所は緯度60度から70度の高緯度に位置しており、これらの地域では夏の日照時間が極端に長く、冬は逆に極端に短いという特徴があります。オーロラはたとえ出現していたとしても、周囲が暗くならなければ見ることはできません。オーロラ鑑賞にとって理想的な時期と時間帯について考えてみましょう。

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季節と日照時間の関係

カナダ、ホワイトホースの日照時間カレンダー

北緯60度43分に位置する、ホワイトホースの平均日照時間。
5月中旬から8月初旬までは夜が訪れないことが分かる。

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※「夜の時間」は、実際にオーロラが見える天文薄明と夜を合わせた時間となります。詳しくは下記のコラム「オーロラ鑑賞が可能な天文薄明とは?」を参照ください。

オーロラガイドのコラム オーロラ完全ガイド制作スタッフ
小泉優

オーロラ鑑賞が可能な天文薄明とは?

オーロラが見える時間帯をもう少し詳しく考えてみましょう。夕方、地平線の彼方に太陽が沈むと、空は徐々に漆黒の闇に包まれてきます。太陽が沈んでから実際に星やオーロラが見え始めるまでの間は「トワイライト=Twilight」と呼ばれています。トワイライトは「日の出前や日没後の薄明かり」を意味し、日本語では「薄明(はくめい)」と言います。トワイライトは地平線に対する太陽の角度により「常用薄明」「航海薄明」「天文薄明」の3種類に分けられており、太陽高度がマイナス12度を下回る天文薄明からオーロラ鑑賞に理想的な暗さとなってきます。

オーロラが見えるエリアは緯度が高く、白夜という言葉があるように夏には夜が訪れません。「夜」という定義は太陽高度がマイナス18度以下になることです。北緯60度付近では少なくても5月下旬から7月末までは太陽がマイナス18度以下には沈まないため、夜が訪れることはありません。

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    太陽高度によるトワイライトの分類。オーロラを見るためには、天文薄明よりも暗くなることが望ましい。

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    天文薄明時に撮影されたオーロラ。8月6日、午前1:00頃にホワイトホース近郊で撮影。

 

オーロラが現れる時間帯

ベストな時間帯というものは無い

『オーロラは何時ぐらいに良く出るのですか?』と聞かれることがあります。果たしてオーロラの現れる時間帯に法則のようなものはあるのでしょうか。実際のところオーロラは本当に気まぐれな現象であり、『何時頃がベスト』という明確な指針のようなものはありません。暗い時間帯ならいつ見れてもおかしくないというのが正しい答えとなりますが、この理由はオーロラの発生が太陽活動と密接に関係しているためです。

オーロラの素となる太陽風は太陽で起こる爆発現象などにより強く発生し、この太陽風が地球の大気圏に入り込むことでオーロラは発生します。しかし、この太陽活動が起こるタイミングには明確な規則性というものが存在しません。太陽活動が活発な期間はオーロラが出現したり消えたりを頻繁に繰り返すこともあり、まったく時間を読むことが出来ません。日が沈んだ直後のまだ薄明かりの時に現れた後、深夜には終わってしまうこともあれば、その逆に、明け方3時から4時頃に突然巨大なカーテンが現れることもあります。また、朝6時にオーロラ爆発のピークを迎え、そのまま日の出を迎えたということも珍しくはありません。そして、オーロラがまったく見えない日も当然あり得るのです。オーロラの出現とは太陽のご機嫌次第ということです。

オーロラオーバルは真夜中付近が最も幅広になるが、幅の広さとピークとは別の話である

もし、地球に入り込む太陽風の動きに一晩中大きな変化が見られないような日を”仮定”するならば、真夜中の午前0時前後の地域が最もオーロラオーバルの幅が広くなる可能性はあります。しかし、この幅の広さの可能性と、オーロラの強さのピークが1日のうちに”いつ”来るかという話とは別なのです。太陽風も含めた宇宙環境は絶えず変化しているため、実際にはピークは様々な時間に”突然”訪れます。午前0時頃に弱いオーロラしか見え無い日であっても、その数時間後に突然太陽風が大量に地球に入り込み、強いオーロラが出現することは決して珍しいことではないのです。

【画像B】は 2017年1月17日 21:00 (UTC) 時のオーロラオーバルのシミュレーション画像です。この時、スウェーデン、ノルウェイが採用している時刻では22:00 (CET)ですが、あくまでもこの日の例では、この時点で北欧でのオーロラのピークは過ぎている様にも見えます。続いて【画像C】は先ほどの【画像B】の17時間後の画像であり、朝方に非常に強いピークが来たことが確認できます。この時、カナダのホワイトホースは朝6:55 (MST)、イエローナイフは朝7:55 (CST) です。この時刻のホワイトホースはまだ暗く、東側の空にオーロラが見えた可能性が高いです。また、イエローナイフでは南の空にピークが来ており、やや薄明るくなってくる頃ではあるものの、十分に強いオーロラが見えた可能性はあります。

これらの例からも、オーロラのピークの時刻には規則性がないことが分かることでしょう。オーロラを待っている間は時刻というのはあくまでも参考レベルにして、とにかく暗い間は可能な限り粘ることが何よりも大切であり、最後まで諦めないことこそが、オーロラに出会う可能性を最も高めると言うことは断言できます。オーロラを見逃さないためには、『オーロラが出た!』という時に、いつでもオーロラを見ることのできる環境を選ぶことが、最も賢い方法の一つと言えるのです。

 

月明かりの影響

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